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2024年03月07日

広域中和抗体は長時間作用型抗レトロウイルス薬の併用パートナーになる可能性
Broadly neutralising antibodies may be partners for long-acting antiretrovirals

写真
Professor Joseph Eron and Professor Babafemi Taiwo at CROI 2024. Photo by Roger Pebody.

CROI 2024での2つの発表によると、HIV治療において、2種類の長時間作用型抗レトロウイルス薬レナカパビル(Sunlenca)とカボテグラビル(Vocabria)は、広域中和抗体(bnAb)と相性がよい可能性がある。

Chapel HillのUniversity of North CarolinaのJoseph Eron教授は、レナカパビルとGilead Sciences社が開発中の2種類の抗体であるteropavimabおよびzinlirvimabの併用を評価した第Ib相試験の結果を発表した。

レナカパビルは、多剤耐性ウイルスの治療経験者に対して承認されたHIVカプシド阻害薬である。本剤は6ヵ月ごとに注射で投与する。いずれのbnAbも半減期を延長し、投与回数を減らすために改良された。

試験開始時に、それまでの抗レトロウイルス療法(ART)中止後、参加者20名全員がレナカパビルの経口投与1回、レナカパビルの皮下注射2回、teropavimabの点滴静注(30 mg/kg)1回受けた。さらに、参加者はzinlirvimab 10 mg/kgまたは30 mg/kgのいずれかの用量の点滴投与に無作為に割り付けられた。

最初の結果はCROI 2023で発表された。レナカパビル、teropavimab、zinlirvimabの濃度は、治療レベルを十分に上回り、両投与群とも参加者の90%が6ヵ月間ウイルス抑制を維持していた。治療は安全で、忍容性はおおむね良好であった。

この試験の参加可能者は、耐性検査でウイルスがteropavimabとzinlirvimabの両方に対して感受性があることが示された者のみとされ、参加者候補の半分超が参加できなかった。1件の新たな試験では、teropavimabとzinlirvimabの両方ではなく、いずれかに感受性がある11名が組み入れられた。

このうち1名はB型肝炎を有しており、解析から除外された。残りの10名は上記と同じ2つのレジメンに無作為に割り付けられた。26週時点で、参加者は各自のベースラインのARTを再開した。その時点で、10名中8名がウイルス抑制を維持していた。しかし、2つのzinlirvimab用量群間で反応に差がみられた。ウイルス量が検出不能であったのは、低用量群では4名中2名のみであったが、高用量群では6名全員であった。治療の忍容性は良好であった。

Teropavimabに対して感受性があった低用量群1名が、ウイルス量のリバウンドが発生した時点でCOVIDと診断され、経口ARTを再開後にウイルス抑制を回復した。もう1名はzinlirvimabに対して感受性があり、経口投与再開後も依然として検出可能な低レベルのウイルス量が認められた。治療下での耐性の発現は認められなかった。

Zinlirvimabの高用量群の参加者全員が6ヵ月間ウイルス抑制を維持したことから、「より高いbnAb濃度が維持される場合、[レナカパビル+teropavimab+zinlirvimab]による治療試験には、より包括的なbnAb感受性基準が適切である可能性がある」と、研究者らは結論づけた。

この併用療法については、これから第II相試験が開始される予定である。

2件目の試験(第II相試験)では、シカゴのNorthwestern UniversityのBabafemi Taiwo教授らは、長時間作用型カボテグラビル+VRC07-523LSと呼ばれるbnAbの安全性と有効性を評価した。本剤も効果の持続時間が延長するよう改良された。

ステップ1では、参加者は経口カボテグラビル+2種類の核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)を4週間服用した。ウイルス抑制を維持した参加者はステップ2に進み、長時間作用型カボテグラビル注射を4週ごと、およびVRC07-523LS 40 mg/kgの点滴投与を8週ごとに受けた。48週間後、参加者は標準的な経口レジメンを再開した。合計71名がステップ2を開始し、60名がステップ2を終了した。

5名を除く全参加者が48週時点でウイルス抑制を維持していた。治療はおおむね安全で、忍容性は良好であった。

長時間作用型bnAb単剤+カボテグラビル注射剤の併用は「HIV-1抑制を維持する可能性があるが、ブレイクスルーの根底にあるメカニズムをよりよく理解する必要がある」と、研究者らは結論づけた。

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